週に2回、栄養や健康にまつわる論文を、AIを使ってリサーチ・収集しています。
今日は、その中から一つ、ご紹介します。

東京大学・東京医科大学・早稲田大学のチームが、今年の2月に発表した論文です。
これまでに集まったデータをまとめ直したもので、世界37カ国・31,695件の腸内細菌データを比較しています。
そのうち日本のデータは5,466件でした。

そのなかに、海苔の話がありました。

海苔を消化できるかどうかは、腸内細菌しだい

海苔などに含まれる多糖類(ぬめりや歯ごたえのもとになる、大きな糖のかたまり)を消化するには、専用の酵素が必要です。

ところが人間は、その酵素を作る遺伝子を、自分では持っていません。
つまり、人間の体だけでは、この多糖類を分解できない、ということです。

ここで頼りになるのが、腸内細菌です。
腸にいる菌が、代わりにこの遺伝子を持っていれば…
分解してくれて、栄養として使えるようになります。

この遺伝子を持つ菌が、誰の腸にでもいるわけではないということでした。

論文によると、

  • 東アジア・太平洋…6.3〜95.5%(国によって幅がある)
  • ヨーロッパ、北米、南米…0〜16.7%
  • アフリカ…0%

つまり、世界の多くの地域では、腸内細菌がこの遺伝子を持っておらず、
海苔を食べても、多糖類はほとんど分解されずに通り過ぎていくと考えられます。

そのなかで、日本人はおよそ9割が、この遺伝子を持つ菌を腸に持っていました。
韓国も、日本と同じくらい高い割合だったそうです。

海苔をきちんと分解できる腸を持っているのは、世界的に見ると少数派。
日本人は、その数少ない側だった、ということになります。

もとは、海の中にあった遺伝子

この遺伝子、もともと人間の腸にいる菌が持っていたものではなく、海藻にくっついて暮らす海の中の細菌が持っていたものだそうです。
それが、長い年月のなかで、腸内細菌に移ったと考えられています。

海藻を食べる暮らしが日本人や韓国人は長く続いたことが、関係しているのかもしれません。

だから、活かしたい

海藻は、ミネラルや食物繊維が豊富な食材です。
カルシウムや鉄、マグネシウムなど、普段の食事だけでは不足しやすい栄養素も含まれています。

この論文自体は、「遺伝子を持っているから健康にいい」とまでは言っていません。
ただ、海苔のあの独特な多糖まで、腸の中の菌の力を借りて使えるとしたら、それも含めて活かしたいところです。

僕が普段使いとしてお勧めしているのは、海苔、青さ、青のり、わかめの4つです。

(ひじきは無機ヒ素、昆布はヨウ素が多い関係で、日常的な摂取はお勧めしていません。今回の酵素の話が直接あてはまるのは紅藻である海苔で、青さ・青のりは緑藻、わかめは褐藻とまた別の種類ですが、それぞれ栄養のある食材です。)

お味噌汁に、わかめを入れる。
ごはんに、海苔を一枚つける。
汁物や卵焼きに、青のりをひとふり。

そんな、ちょい足しの感覚で十分です。

海苔をちゃんと分解できる菌を、多くの日本人が腸に持っているわけですから。
使わない手はないですよね。


📌 参考にした論文
Nishijima S, Hattori M, Nagata N. “The Japanese gut microbiome: ecology, uniqueness, and impact on health and disease.” Proceedings of the Japan Academy, Series B. 2026;102(2):82-103.
https://doi.org/10.2183/pjab.102.006

東京大学大学院新領域創成科学研究科 記者発表(2026年2月13日)
https://www.k.u-tokyo.ac.jp/information/category/press/0029170.html

遺伝子が海の細菌から移ったという話は、こちらがもとになっています。
Hehemann JH, et al. “Transfer of carbohydrate-active enzymes from marine bacteria to Japanese gut microbiota.” Nature. 2010;464:908-912.
https://www.nature.com/articles/nature08937